一宮西病院の医療コラム

専門医が解説‼肩の痛みについて〜腱板断裂について(2)

肩関節の疼痛を主訴に外来受診される中高年の患者さんの疾患は、拘縮肩(いわゆる五十肩)と腱板断裂が多くを占めます。両疾患とも肩の痛みが出現し、腕が上がらなくなります。拘縮肩のほとんどはリハビリなどの保存療法で改善しますが、腱板断裂は手術療法が必要になることがあるため、正確な診断が必要となります。今回は腱板断裂について解説します。

リバース型人工肩関節置換術

手術療法を勧めるのは仕事やスポーツで肩をよく使用する方は、断裂が小さくても、今後断裂が拡大する可能性が高いため手術を勧めています。
 断裂があっても疼痛が軽度であり、生活に支障がなければ鎮痛剤を使用して経過を診ていきます。疼痛が強く、生活に支障がある場合は肩関節に注射し、断裂による炎症を軽減させ、同時に肩関節の機能改善のためリハビリを行います。しかし、このような保存治療に抵抗し、疼痛が遷延すれば手術療法を選択することがあります。

近年行われるようになった手術

 近年は、関節鏡を用いた鏡視下腱板修復術が主流となっていますが、専門性の高い手術のため手術可能な施設は限られています。
 また、新しい手術方法として、リバース型人工肩関節置換術があります。この治療方法は2014年に日本で認可された治療方法です。腱板断裂が広範囲にわたり修復が困難な場合に適応となります。腱板断裂に対する最終手段と考えられていますが、適応基準、また、実施する医師に厳しい基準がありますので、適応については肩関節専門医の診察を受けてください。
最後に各治療方法には利点欠点があり、またリハビリが大切となります。主治医や理学療法士のサポートのもと治療・リハビリに取り組まなければいけません。お近くの専門医によくご相談の上、治療を進めてください。

鏡視下腱板修復術

監修:一宮西病院 整形外科 部長、日本整形外科学会 専門医
   梶田 幸宏